ケーララのベジタリアン事情

On 2012/03/30 by 大野 遼

インドといえば菜食主義。と、いうイメージを持つ日本人は、どれほどいるでしょう。
あるいは、学校で習ったように、ヒンドゥー教だから牛肉は食べない、と思っている人。
町に溢れるベジタリアン・レストランを見れば、なるほどさすがインド、やはり菜食主義が盛んなのか、
と納得してしまうかもしれません。

 しかし実のところ、欧米の菜食主義者が落胆してしまう程度には、インドは肉食人口が多いのです。
少なくともケーララ州は、圧倒的にノン・ベジタリアン。海に近く、漁が盛んであるという土地柄もあるでしょう。
更にフィッシュ・フライだけでなくビーフ・フライも、ケーララの代表的な料理に数えられます。
変り種のケーララだけのことかと思いきや、インドのどこでもベジタリアンは少ないとか。

 過去の二度の滞在で、私はベジタリアンのお家でお世話になっていたのですが、
そこではお嫁さんが「この家はベジだけど、私は肉も食べる。お義母さんも魚は食べる」
と言っていました。
婚姻で結びついた間柄でも、必ずしも相手と同じ食習慣に染まらなければいけない訳ではないようです。
また、「新たな町に行く時は、まずベジ・レストランに行くのが安全だ」と
誰もが言うぐらいで、(味も質も、無難、なのだそう)ベジタリアン・レストランに行くからといって、
菜食主義者だという訳ではありません。

 野菜だけというとまず「物足りない」と想像される方が多いようですが、南インド料理を知っていると、
その発想はあまり説得力が無くなります。熱帯で食料は豊富にあり、更にはスパイスの一大供給地でもあったこの国、
ふんだんに手に入る陸の幸の調理方法は数え切れないほどあるのです。
今でも庭に成る実を料理したり漬物にしたりするのは日常風景。
いわゆるバラモン・ヒンドゥーの教えが広く認知されているということだけではなく、
菜食という文化自体への違和感が比較的小さいのでしょう。

 それでもノン・ベジの人たちはベジタリアンに対して、多少は胡乱げな眼差しを向けているなあと、感じることもあります。
しかし結婚式などお祝い事の時は、ヒンドゥーならばやはりベジタリアンだということです。
同僚曰く、北インドなら肉も出すが、南インドは出さない。
有名なバナナリーフの(慶事の席での)食事は、別に肉を乗せてはいけない訳ではないが、普通はしない、とのこと。
菜食には明らかな「聖」や「浄」が認められているようです。

佐藤友美 2012/3/30

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