ケーララ・ニューイヤー

On 2012/04/24 by 大野 遼

4月14日はケーララ暦の新年にあたる、ヴィシュでした。タミル・ナードゥの方では13日だったようです。
暦について訊くと、いわゆるヒンドゥー暦とはけっこう違う、他の南インドの暦とは少し違いつつもだいたい同じ、
という答えが返ってきました。
ヒンドゥーの新年といったら八月頃のディワリ(もしくはディーパワリ)かと思っていたけど……と言うと、
「いや、あれは光のお祭りでしょ」と。え、そうなの?
もっともケーララには二つの新年があり、もう一つが有名なオーナム祭。
こちらもいづれレポートしたいと思います。

ヴィシュのために用意するものは、大きな金属の丸いお皿と、それに盛る旬の果物や野菜、そして黄色い、コンナと呼ばれる花の枝。
クリシュナ神の像に、それから鏡。それから、ケーララのヒンドゥーのお家では欠かせない、素朴なランプ。
これは一見するとほっそりとした鐘にも見えるような、華奢で優雅なもの。
椰子油を注いで、丸めた布の端切れを芯にして火を点けるというシンプルなものです。

ヴィシュの朝には、日の出前にまずお母さんが起き出します。
そして礼拝の間に行ってランプに火を灯し、供え物とクリシュナ神の像を目にします。
その後、お母さんは家族の一人一人を起こすたび、目隠しをしながら礼拝の間に連れて行き、
その朝何よりも先に目にするのがこの善きものであることを保証するのです。
これはヴィシュ・カニと呼ばれ、一年の始まりに縁起のよい美しいものを見ると良い一年になる、と考えられています。

コンナはそもそもクリシュナ神に縁の深い花で、神話についてはここでは割愛しますが、
とにかくこのヴィシュはクリシュナ神系統のお祭りであるようです。
一方で八月のオーナム祭では、そのクリシュナが化身だとされるヴィシュヌ神は完全に悪役というか、
あてつけ役になっているので、このあたりがケーララのよく分からないところ。

私は当初このヴィシュについて何にも知らなかったのですが、
ヒンドゥー系の名前の人たちはこぞって実家に帰ったり有休をとったりしているので、
日本のお正月のようなものなのかな、と理解しました。勉強用に買っている、子供向けのペラペラ雑誌があるのですが、
ここでもヴィシュ特集がギッシリ。写真の一枚は、その一ページを写したものです。
何をするにも家族単位が基本のケーララの、大事かつ神聖な家族行事であるようです。
お年玉もあるそうですよ。

佐藤友美 2012/4/24

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